寄席での過ごし方 — 出入り・飲食・拍手のこと
寄席に行くのをためらう理由は、値段でも時間でもなく「作法がわからないから」であることが多いようです。結論を先に言えば、寄席は演芸の場のなかでもかなりおおらかな部類です。構える必要はほとんどありません。
途中から入っていいし、途中で帰っていい
定席は入替なしで長時間やっているので、途中入場も途中退場もできます。会社帰りに夜の部の後半だけ観る、昼の部の途中で用事に向かう——どちらもごく普通のことです。
ただし、演者が高座で話している最中に大きな音を立てて動くのは避けたいところ。一席が終わって拍手が起き、次の演者の出囃子が鳴っている間が、席を立つのにいちばんよいタイミングです。この間は客席全体が動く時間なので、まったく目立ちません。
一方、ホールで開かれる独演会・落語会は開演時刻と終演時刻がはっきりしていて、途中入場が制限されることもあります。定席と落語会でここは性格が違う、と覚えておいてください。
飲食できる寄席が多い
四大寄席では、客席での飲食が認められています。売店でお茶やビール、お弁当やおつまみを買って、席で食べながら聴くことができます。昼から夜まで通しで居られる寄席では、途中でお腹が空くのは当然のことなので、これは実用的な話でもあります。
とはいえ、音の出やすいもの——袋菓子や、包み紙のこすれるもの——は仲入りの休憩中に済ませるのが親切です。また、小さなホールや区民会館などで開かれる落語会では飲食禁止のことが多く、こちらは会場のルールに従ってください。
撮影・録音はできません
高座の撮影と録音は、寄席でも落語会でも禁止されています。芸そのものが商品なので、ここは例外がありません。携帯電話はマナーモードにして、しまっておくのが安心です。
拍手は二回、迷ったら周りに合わせる
拍手をするのは基本的に二回です。ひとつは出囃子が鳴って演者が高座に上がってきたとき。もうひとつは一席が終わって、演者が客席にお辞儀をしたとき。この二つを押さえておけば十分です。
落語は「サゲ(オチ)」で終わりますが、初めてだと「今のがサゲなのか、まだ続くのか」がわからないことがあります。その場合は、演者が座布団の上で頭を下げるのを合図にすれば間違いません。判断に迷ったら周りの拍手に合わせる——これで何の問題もありません。
笑うタイミングも同じで、無理に笑う必要も、我慢する必要もありません。可笑しいと思ったところで声を出して笑うのが、演者にとっていちばんありがたい反応です。
どのくらい時間がかかるのか
これは行く前に知っておきたいのに、意外と書かれていない情報です。当サイトに載っている開演時刻から逆算すると、おおよそこうなります。
- 寄席の定席(昼の部だけ)……4時間から5時間。たとえば昼12時前後に始まって、夜の部が始まる16時半〜17時ごろまで。
- 寄席の定席(昼夜通し)……9時間前後。昼の開演から夜の終演までずっと居る場合です。もちろん途中で出てかまいません。
- 独演会・落語会……2時間前後。仲入りを含めて、開演から終演まではっきり区切られています。
- 深夜寄席や若手の会……1時間から1時間半ほど。四席前後の構成です。
初めてなら、定席に4時間居続ける必要はありません。「2時間だけ観て出る」でまったく問題ないので、予定の隙間に合わせて入るのが現実的です。逆に、時間がきっちり決まっているほうが計画を立てやすいという人には、落語会のほうが向いています。
服装は普段着で
ドレスコードのある寄席は、まずありません。普段着で大丈夫です。ただし寄席は空調が効いていることが多いので、夏でも羽織るものが一枚あると快適に過ごせます。長時間座る場所なので、締めつけの少ない服のほうが向いています。
席は自由席が基本
定席の客席は自由席が基本で、空いている席に座ります。混雑時は詰めて座ることになりますし、逆に空いている日はゆったり使えます。会場によっては指定席が設定されている興行もあるので、そこは各公演の案内をご確認ください。
行く前の準備についてははじめての方へ|寄席の選び方ガイドに3ステップでまとめています。番組の流れを先に知っておきたい方は寄席の一日もどうぞ。